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利益創出とリードタイム短縮の鍵~「生産革新実践プログラム」 第2回「生産革新展開 5 要素」

2026.06.26

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人・モノ・設備・品質・しくみを一体化

 生産活動において、目標達成のための具体的な施策は多岐にわたります。「生産革新実践プログラム」では、経営方針やニーズに応える生産プロセスを構築するために不可欠な要素として、「生産革新展開5要素」を提唱しています(図表―1)。今回は、「展開5要素」の基本的な考え方と、各要素が示す方向性を説明します。

図表―1 展開5要素の一体化

「展開5要素」とは?

 本プログラムでは、生産量、品質、コスト、納期などを保証する生産プロセスを構築するための要素を、「人」「モノ」「設備」「品質」「しくみ」の5つとしています。これらの要素を個別ではなく、一体感を持たせて全体最適化を図ることで、真の生産革新が実現されるという考え方としています。各要素には、「ねらい」と具体的な「改善・改革の方向性」が設定されており、これに基づいて現状把握・要因分析、そして改善活動を進めていきます。細かくなりますが、図表―2に一覧を示します。

5要素 ねらい 改善・改革の方向性 現状把握・要因分析 改善 標準化 維持 ステップアップ 改善から改革へ
付加価値の拡大 「一人工の追求」
「人材育成」
1.作業・動作分析(層別)
(1)3ム(ムラ・ムリ・ムダ)作業
(2)正味・付随・付帯作業
2.オペレーターの技能レベル
・全工程の技能習熟と設備・工法のオペレーション技術の習熟
1.量変動対応型ライン(少人化ライン)
2.作業・動作改善
(1)3ム作業(ムラ・ムリ・ムダ)
(2)正味作業化、付随作業排除
(3)付帯(運搬)作業の集約と専任化
1.作業の標準化
(1)標準三票
(2)作業要領書・作業指導書
2.量変動への対応
(1)少人化ライン
3.自働化ラインの運転・管理標準
1.標準作業安定
2.リリーフ体制の運用
3.製造技能人材育成
(1)人材育成マップ
(2)教育訓練教材・制度整備
ノイズを発生(サイクルアップ・配員減等)させ課題を顕在化し改善実施 1.造型~組立工程の連結・同期化・自働化
2.人材育成
(1)多能工化
(2)自働化ライン運転・管理技術
(3)技能・技術者の育成
モノ 在庫・標準手持ちの最少化
納期の完全順守
「物流革新」
「付加価値を生まない運搬作業と停滞時間の徹底排除」
1.在庫数量・置き場所:原材料・部品・仕掛品・完成品・(製品にともなう副資材)
2.運搬・出荷:通箱の荷姿・収容数、完成品の荷姿、運搬機器・道具
3.納期
(1)順守率
(2)未達内容・件数・時間・対応
1.標準手持ち適正化
2.在庫適正化
(1)顧客発注のフレ幅・量低減
(2)安全・非常在庫削減
3.運搬・置場
(1)通箱の収容数設定と小箱化
(2)先入れ先出し(FIFO)
(3)実空運搬
(4)3定(3T):定位(置)・定品・定量
1.3定(最大・最小量の設定)
2.通箱収容数
1.安全在庫の削減:顧客発注のフレ幅低減
2.非常在庫削減:保有要因の解消
多回仕掛け・多回運搬による工程の同期化 1.工程の同期・連結化
(1)運搬レス
(2)超多回仕掛け
設備 最大設備能力の維持
設備総合効率・可動率100%
「最適な設備管理」 1.設備の稼働状況:可動率・設備総合効率
(1)設備故障:件数・時間・内容、MTTR、MTBF
(2)段取り・切替え:件数・時間、方法(内・外段取り層別)
(3)空転時間、チョコ停(頻発停止):件数・時間・内容
2.設備能力
(1)マシンサイクルタイム、マン・マシン比
3.コスト
(1)ランニングコスト
(2)設備投資回収状況
1.計画保全・日常保全(劣化防止)
2.設備停止時間削減
(1)故障、段取り・切替え
(2)立上げ・立下げ
(3)型・刃具寿命延長
(4)チョコ停(頻発停止)・空転改善
(5)マン・マシン比
3.設備の上げ・寄せ・止め
(1)設備能力向上
(2)ライン・設備集約
(3)少機化
1.計画保全・日常保全
(1)保全計画・保全方式
(2)定期・日常保全
(3)予備品管理
(4)MP情報
2.設備オペレーション
(1)段取り・切替、刃具交換
(2)立上げ・立下げ
3.設備稼働状況の見える化
1.計画保全・日常保全の実行
2.設備劣化・停止対応・再発防止
3.PMパッケージ化
4.保全技術・技能養成
1.マシンサイクルタイムの向上:設備動作改善
2.同一製品群の混流化によるライン・設備の共通化・少機化
3.キャスター化・品目に合わせたレイアウト編成
4.ながら設備、からくり改善
1.工程連結された自働化ライン
2.造型設備の小型化と組立ラインとの完全同期化
3.24時間無人稼動
4.段取り・切替えレス
5.設備投資回収期間の短縮
品質 直行率100%
顧客・市場クレームゼロ
「良品条件の追求」 1.直行率
2.工程能力
3.仕損費、再加工費
4.顧客:既納入品不良・市場クレーム
1.自工程完結のしくみ構築
2.工程能力の向上
3.良品条件の設定:PM分析、加工
点・面解析
4.品質保証のしくみ・ツールの導入
1.品質保証のしくみ・ツール
2.良品条件
3.自働化
1.自工程完結
(1)初物・定期・終物管理
(2)バラツキの傾向管理
2.良品条件の維持
3.品質保証のしくみ・ツール運用
1.検査レス:PPMレベルの品質保証
2.不良流出防止→不良ができないしくみへ
完全自働化・無人ライン
しくみ 売れた順・引き取られた順にモノをつくるしくみの構築 「細くてはやい流れの構築」
「リードタイムの極限追求」
1.生産ライン・プロセス
(1)工程フロー、生産リードタイム、生産指標
(2)しかけ、モノの置場(店と構え)、運搬
2.生産システム設計図の作成:「現状の姿」⇒「あるべき姿」⇒「目指す姿」と課題抽出
1.生産方式:押込み生産→後補充生産2.ロット生産の小ロット化
2.工程間の能力差の縮小
1.他要素を俯瞰したしくみ阻害要因の見える化
2.後工程引取り・後補充生産
3.平準化生産
1.納期順守の維持(100%)
2.生産リードタイムの維持
生産リードタイムの短縮 1.一気通貫の順序生産
2.超多回仕掛け

図表―2 生産革新展開5要素

「人」:付加価値の拡大と人材育成

(1)ねらい
 「一人工の追求」と「人材育成」を通じて、生産活動における付加価値を最大化します。加工や組立作業、日常点検、段取り、運搬作業などの人が関わる作業では、付加価値を生まない作業を排除し、非効率的な作業の改善が主なねらいです。
(2)改善・改革の方向性
 作業・動作分析(3ム:ムラ・ムリ・ムダの排除)、正味作業化、付随作業の排除、付帯(運搬)作業の集約・専任化を進めます。さらに、量変動対応型ラインへの転換や、オペレーターの技能レベル向上(全工程の技能習熟、設備・工法オペレーション技術の習熟)を目指します。目先の成果に囚われず、まずは知恵による改善を進めます。改善を突き詰めずに、自動化するとロスやムダも解決されないまま自動化されます。安易な自動化は失敗のもとです。

「モノ」:在庫の最小化と物流革新

(1)ねらい
 「付加価値を生まない運搬作業と停滞時間の徹底排除」を通じて、「物流革新」を実現し、納期遅れを起こさない「在庫の最小化」を目指します。原材料、購入品、部品、仕掛品、完成品、そして製品に付随する副資材を含む「モノ」は、資産として計上されるため、過剰な在庫は資産回転率の低下を招き、不要なコストを発生させます。
(2)改善・改革の方向性
 標準手持ち、安全在庫、非常在庫の最適化を図ります。また、顧客発注のフレ幅・量低減を通じて在庫を適正化し、通箱の収容数設定や小箱化、先入れ先出し(FIFO)、実空運搬、そして「3定」(定位・定品・定量)により、運搬・置き場を改善します。 
 最終的には、「工程の同期・連結化」や「運搬レス化」を見据えた取組みを進めます。

「設備」:生産性の向上と最適な設備管理

(1)ねらい
 「最適な設備管理」を通じて、「最大設備能力の維持」と「設備総合効率・可動率100%」を追求します。設備は生産活動の中核であり、そのパフォーマンスは生産性やコストに直結します。
(2)改善・改革の方向性
 計画保全・日常保全による劣化防止、設備停止時間(故障、段取り・切替え、立上げ・立下げ、チョコ停、空転など)の削減、型・刃具寿命の延長、マン・マシン比の改善に取り組みます。さらに、「設備の上げ・寄せ・止め」といった少機化の推進により、設備能力の向上、ライン・設備の集約を図ります。

「品質」:直行率100%と不良ゼロの追求

(1)ねらい
 「良品条件の追求」により「直行率100%」と「顧客・市場クレームゼロ」を目指します。品質は、企業の信頼を左右する最重要課題です。
(2)改善・改革の方向性
 自工程完結のしくみを構築し、工程能力の向上を図ります。PM分析や加工点解析を通じて良品条件を設定し、品質保証の仕組みとツールを導入することで、不良を未然防止します。

「しくみ」:細くてはやい流れの構築とリードタイムの極限追求

(1)ねらい
 「売れた順・引き取られた順にモノをつくるしくみの構築」を通じて、「細くてはやい流れの構築」と「リードタイムの極限追求」を目指します。生産システム全体の流れを最適化し、効率的な生産を実現します。
(2)改善・改革の方向性
  生産方式を押込み生産から後補充生産へ転換し、ロットを小ロット化します。工程間の能力差を縮小し、生産ライン・プロセスの最適化を図ります。この「しくみ」を可視化するため、「生産システム設計図」や「モノと情報の流れ図」を作成し、「現状の姿」から「あるべき姿」そして「目指す姿」へと課題を抽出し、改善を進めます。

ポイントは「一体感」

 これら「展開5要素」は、それぞれが独立して改善されるだけでなく、相互に密接に連携し、一体となって機能することで、最大の効果を発揮します。ある要素の改善がは他の要素に波及し、全体としての生産システムの最適化へとつながります。この一体感が、持続的な生産革新を実現するための重要なポイントとなります。

第3回に続く

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