改善活動・からくり改善

注目記事

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からくり改善のための「機構学」入門 No.4 てこクランク機構の成立条件(前編:条件式の導出)

2025.07.01

 第4回の記事を書くにあたって、本連載の第1回から第3回までを振り返ってみました。まず第1回では「てこクランク機構の復習」を行い、続く第2回では「構成するリンクの長さから揺動角度を求める方法」、そして、第3回目では「指定された揺動角度を得るために必要となるリンクの長さを求める方法」について計算手順の説明を行いました。以上の説明で、少々言い過ぎかもしれませんが、てこクランク機構の基本的な設計ができるようになりました。しかし、この振り返りをしてみて、何かが抜けている気がしました。そうです、そもそも論として、四節回転連鎖がてこクランク機構になる条件については、お話をしていませんでした。 そこで、今回は、四節回転連鎖の復習から始めて、四節回転連鎖がてこクランク機構となるためには、どのような条件が必要なのかを説明したいと思います。

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からくり改善のための「機構学」入門 No.2 てこクランク機構の揺動角度(本編:基本問題)

2025.05.01

 前回は、てこクランク機構の揺動角度を計算によって求めるため、準備編として、てこクランク機構の構造と動きを復習しました。そして、もう一つ、揺動角度を計算するために欠かせない数学的な基礎知識として「余弦定理」についても説明しました。(本編からご覧になっている方で、余弦定理について不安のある方は、ぜひ、準備編もご覧ください)。 さて、本編では、準備編で手に入れた余弦定理を使って、次の2つの問題に取り組んでみようと思います。まず今回は、基本問題として、リンクの長さが決まっている場合に、てこクランク機構の揺動角度を求めてみます。続いて(掲載は次回となりますが・・・)、応用問題として、指定された揺動角度となるようにリンクの長さを設計する方法について解説したいと思います。

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からくり改善のための「機構学」入門 No.5 てこクランク機構(後編①:基本問題)

2025.08.01

 前回は、四節回転連鎖がてこクランク機構として動作する条件を導出しました。導出した条件は不等式で表されていて、機構学の教科書では「グラスホフの条件(The Grashof condition)」として紹介されているものです。導出の考え方は単純で、リンク機構が動作する過程で生じる特徴的な場面での三角形に着目し、これらの三角形が成り立つために必要となる3辺の長さの関係を不等式で表し整理するだけです。 一方で、大学の機構学の講義ではグラスホフの条件を紹介することは多いと思うのですが、導出の過程まで丁寧に扱うことは時間的な制約から難しいのが実情ではないかと思います。その意味でも、前回のように導出過程をじっくりと考察できたことは、私自身にとっても非常に新鮮な体験でした。 さて、今回の後編①では、前回導出したグラスホフの条件に具体的な数値を代入して、知識の確認を行うための基礎的な計算を行ってみたいと思います。

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からくり改善のための「機構学」入門 No.3 てこクランク機構の揺動角度(本編:応用問題)

2025.06.02

 前回は、てこクランク機構において、リンクの長さが決まっている場合に揺動角度を求める手順を説明しました。これは余弦定理を素直に適用することで揺動角を簡単に求めることができる基本問題でした。 今回は、からくり改善の現場で実際に生じるであろう実用的な問題として、指定された揺動角度となるようにリンクの長さを設計する応用問題に取り組んでみたいと思います。