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注目記事

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第145回「正十二面体づくりと工学に生きる心得」

2025.04.01

 正多面体は辺の長さが等しい一種類の正多角形を組み合わせ、かつ各頂点の周りの面の数が等しい多面体です。正三角形による正四・八・二十面体、正方形による正六面体(立方体)、正五角形による正十二面体の五種類があります。その形や展開図はあちこちで紹介されるため、ご存じの方も多いとは思います。正多角形でできるものには他に、サッカーボール型といわれる切頂二十面体(正五角形×12、正六角形×20)などもあります。

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サステナブルなモノづくりのために No.97

2025.04.01

 デンソーがロボットを使って廃車を自動精緻解体するプロジェクトBlueRebirthを環境省の支援を得て進めていて、これが面白い。

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第146回「シャッフルされた学生番号とハッシュ」

2025.05.01

 大学では学生さんたちの情報管理に学生番号(または学籍番号など)という数値をつかいます。会社も社員の番号があるでしょうし、日本全体ではマイナンバーがあります。これらの番号は、何らかのルールに従って重複無く割り振られた番号です。氏名で区別しようとすると、どの漢字か(とくに同じ名字でも文字が多数ある場合など)などで照合の煩雑さがあるほか、漢字まで一致した同姓同名が区別できなくなります(実際に大学のクラスであったときには番号でしか区別できなかった)。また、数値には大小があるため、コンピュータ内での比較や参照などがしやすく、非常に便利です。 日常的に書類に「氏名」と「番号」を併記で書くことを求められますが、おそらく「番号」のほうが主で、処理をするときに番号をまず入力して、番号から検索された氏名と、記載の氏名が一致するかチェックします。氏名を書くのは番号を書き間違ったときの対策として、場合によっては本人が書いたことの筆跡の検証をするためです。重要度の高いものでは、本来必要な数値の他にもう一桁、何らかの計算で決まるようなチェック用の桁を用意して、ひとつの書き間違い、読み間違いくらいは検出できるようにします。 さて、学校における番号の設定には、しばしば五十音順が用いられます。私は小学校のときには誕生日順だったので常に最後だったのですが、付番根拠によってはそのような非公開属性が見えることがあります。本学も五十音順だったのですが、2年前からシャッフルされて、氏名と番号が一見するとランダムになりました。そのときは驚き抵抗を感じましたが、考えてみれば私は出席や提出物、成績の管理は番号で行い、氏名は上記の通りチェック用ですので、五十音順の必要はありませんでした。シャッフルすることにした理由はいくつか考えられるのですが、ひとつ便利なことに「佐藤班」の問題が消えました。 実験実習をする際に学科を数人単位の班に分けることがあります。われわれの作業効率を考えて、番号順に人数ずつ区切って行きますが、総勢100人もいると佐藤さんが数人いて、場合によってはほとんど佐藤さんという班ができます。下の名前で呼ぶか、「○○番の佐藤さん」と言わなければなりません。シャッフルされると、この問題はほぼ回避され、同じ名字の人が同じ班にいることは偶然になります。 似たような考え方は物品管理にも使われると聞きます。代表的な事例はピッキング作業をする場での並び順です。たとえば、ネジなどの部品を引出しにしまうときに、直感的には同じ規格で長さ順で並べたくなります。その場合、隣接する区画に見た目の似たものが並ぶことになり、取り出すときに良く見る必要があります。一方で、M3x10ネジとM6x20ボルトとM2ナットとM5ワッシャという組合わせであれば、仕切り無くまとめて入れられていたとしても、見ても手触りでも区別がつきます。もちろん、欲しいネジがその引出し、ということを特定できる何か手段が別に必要ですし、「近い何かを探したい」ときには逆にやりにくくなりますが、あえてバラバラにするとピッキングミスは減らせます。

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サステナブルなモノづくりのために No.98

2025.05.01

 たまには、「プラントエンジニア」に近い内容の話をしよう。 以前少し触れたのだが、企業との共同研究で、プラントの点検作業における、熟練者と未熟練者の行動の違いを分析している。 なぜ、熟練者は、他の点検員が気付かないような不良の兆候を見付けだすのか? そこから、熟練知を探り、作業支援や自動化に繋げようというねらいである。 大きな課題はご多分に漏れず、労働力不足と熟練者の引退とそれに伴う熟練知の喪失である。学生が、点検員について回り、ビデオ撮影や作業の分析をして点検員にインタビューを行った。かなり手間のかかる研究である。 たとえば、あるプラントの同じ場所で、熟練者3名、未熟練者3名それぞれの実際の点検作業の記録をとって比較した。もっとも興味深かったのは、熟練者の間でも、点検ルートも点検箇所も様々であった点である。もちろん、法規は満たされているし、このプラントには基本的な点検マニュアルもあり、それは基本的には満たされているのだが、その上で、多様であった。 むしろこの多様性によって、プラント全体の点検がカバーされているようにも見えたが、管理者側も、熟練点検員同士も、これらの点検ルートや点検箇所の相違を意識していないようであったし、情報交換も調整もしていなかった。この辺は謎であった。