
高温流体の冷却に冷水塔循環水の使用、注意おこたるすべからず
多管式熱交換器で数十度を超える高温流体を冷却するために冷却水を使用する場合、伝熱面でのスケールの生成に注意する必要がある。
伝熱面にスケールが生ずると、伝熱係数が低下し高温流体の冷却能力が不十分となる。更に、スケール付着が顕著になると、熱交換器の伝熱管の閉塞(流れなくなる)が生じ、熱交換器自体の機能が失われることもある。また、スケールが生ずると、炭素鋼製伝熱管の場合に孔食状腐食発生が加速され、ステンレス鋼製伝熱管の場合にすき間腐食とそれを起点とした応力腐食割れ(SCC)が発生する可能性が高くなる。
スケールは、主に炭酸カルシムや炭酸マグネシウム等の硬度成分の析出物である。これらの溶解度は温度が高いほど低下するため、高温流体を冷却する伝熱面から優先してスケールが生じることになる。
スケールの生じ易さは、水質分析の結果を用いて算出するランゲリア指数(1)で評価される。この値がプラスの場合にスケールが生じ易く、マイナスの場合は生じにくいこととなる。
日本の河川水や井戸水のほとんどは、常温でランゲリア指数がマイナスであるが、化学プラントで多く用いられる開放循環系冷却水は、供給される水が濃縮されるため、ランゲリア指数がプラスとなり、スケール傾向の水となる。しかも、高温流体を冷却する伝熱面では、温度が上昇し、それによりランゲリア指数が更に高くなり、スケール発生が加速される。ただし、想定温度でのランゲリア指数がプラスであっても、スケール付着が必ず生ずる訳ではない。経験的には、常温のランゲリア指数が1程度であれば、伝熱面温度が目安として70℃を超えるとスケール付着が生ずる可能性が高くなる。なお、スケールが生じ易い条件でも、冷却水流速を1m/sec程度に保つことはスケール抑制に効果がある。ただし、この流速維持の対策だけでスケールを抑制することはできない。
高温流体の温度が高く、伝熱面温度が例えば70℃を超える場合は、開放循環系冷却水による冷却でなく、硬度成分の濃度が低いボイラ給水や純水を冷却に用いることが妥当である。なお、このスケールの課題は、開放循環系冷却水から河川水等の一過式に変更するだけでは、解決しない場合が多い。
以上をまとめて図に示す。

図 熱交換器伝熱管のスケール障害の概要と防止策
参考資料
(1)例えばextension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.jwrc-net.or.jp/docs/publication-outreach/qa/13-80-2.pdf
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