

製造業において、設備の安定稼働は生産性や品質、コスト、納期などのすべてに直結する重要な要素です。そのため、設備保全は専門部門だけではなく、オペレーター自身が主体的に取り組む「自主保全活動」が注目されています。自主保全とは、TPM(Total Productive Maintenance:全員参加生産保全)の要素・機能の1つであり、オペレーターが設備の清掃・点検・給油・調整、簡易修理といった「設備の維持活動」を担い、故障の予防や生産性向上を図る活動です。第1回目の自主保全活動を成功に導くための工夫をに続き、第2回ではステップごとの取組み例をワンポイントで説明します。
第1ステップ:「初期清掃」(清掃点検)エフ付けのポイント
第1ステップは清掃点検ともいわれるように、清掃することで不具合(漏れ・ゆるみ・損傷)などが見えるようになり、「清掃は点検なり」体験するとともに、不具合個所を発見し、エフ付けなどで見える化する重要なステップです。
(1)目的に応じたエフの色分け
エフとは、不具合個所に処置を忘れないために、日付や発見した人の名前、不具合の内容を記入する荷札のようなツールです(図表―1)。不具合個所にエフを取り付けることを「エフ付け」といい、「初期清掃」の重要な活動項目です。
エフに対しては復元や修理などの対応が必要になりますが、その内容によって色分けし、役割と責任を明確にすることが多いです(図表―2)。

図表―1 エフ(白)
名称・色 | 内容・取り付ける対象 | 取り付けた後の対応 |
赤エフ | 保全部門などに対応を依頼する必要がある不具合 | 専門部署に報告・依頼 |
白エフ | 自分たちのサークル(現場)で処置可能な不具合 | 自主的に対応・修正 |
黄エフ | 危険個所(安全に関わる問題) | 最優先に対応・注意喚起 |
緑エフ | 省エネ対応が必要な個所 | 改善提案・省エネ活動へ展開 |
図表―2 エフの色と内容
(2)点検項目の洗出し
「初期清掃」に続く言葉として「清掃は点検なり」があります。これは以下のように清掃が設備の点検・異常発見の第一歩であるという意味を持っています。
① 清掃中に異常が見付かる
清掃によって、普段は見えない部分が見えるようになり、油漏れや摩耗、緩み、ひび割れな
どの異常を発見できる。
② 設備の状態を知るきっかけになる
汚れが溜まっている場所は、熱がこもりやすかったり、摩耗が進んでいたりする可能性があ
る。
③ オペレーターの保全意識が高まる
自らが清掃することで、設備への愛着や責任感が生まれ、異常に気付きやすくなる。「自分
の設備は自分で守る」というTPMの基本理念に沿った行動である。
④ 予防保全の第一歩
異常を早期に発見することで、故障やトラブルを未然に防ぐことができる。故障してから修
理する「事後保全」ではなく、壊れる前に手を打つ「予防保全」へとつながる。
第1ステップでは、第3ステップで取り組む「自主保全仮基準の作成」を見据えて、点検項目をあらかじめリスト化・作成を開始する取組みが見られます。これにより、アウトプットを見据えながら途中の次の第2ステップの活動内容も反映し、精度の高い仮基準書を目指せるメリットがあります。一方、仮基準書の帳票や用語、運用などを早期に検討する必要があるため、十分な準備が必要です。
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