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株式会社東京ファクトリーは、2020年の創業以来、重工業・化学業界を中心に現場向けデジタルサービスを提供してきた。
このたび、TPM優秀商品賞を受賞した「Proceedクラウド」は、創業当初より顧客の声をもとに改善を重ね、現在では石油化学プラントをはじめとする大型プラントの定期修繕・日常保全業務で活用が広がっている。
「Proceedクラウド」は、現場で取得しながら十分に活用されていなかったデータを構造化・共有することで、生産性向上と持続的な競争力強化を実現するサービスである。とくに、写真をはじめとしたビジュアル情報や、現場の手帳等に残されている個人のメモのような定性的な情報は、定量情報と比較してもシステムでの取扱いが難しく、属人的に管理し続けている。
このような情報を有効に活用することで、現場の担当者や、熟練技術者の経験や判断に依存しがちな現場業務においても、データにもとづいた現場運営を実現し、生産性向上と技術伝承を両立することを目指している。
「Proceedクラウド」がアプローチする現場の課題
当社がプラント業界のお客様と対話を重ねるなかで、いくつかの共通した課題が見えてきた。
第1に、定期修繕や日常点検において膨大な写真が撮影しているものの、それらが十分に活用されていないという点である。写真は報告書に添付しているだけで、後から検索・再利用することが難しく、結果として同様の確認作業や調査が繰り返している。現場では人手不足や労務規制などの影響で、労務単価の上昇が長くトレンドとして続いている。また、日本の大型プラントの多くは、高度経済成長期に建設しており、老朽化も進んでいるため、プラントの維持・運営に必要なコストは年々高くなってきている。そのような状況のなかで、テクノロジーを活用して現場のオペレーションを改善し作業を削減していくことは必要不可欠になってきている。
第2に、プラントのメンテナンスは各個人の非常に高度なスキル・知識や経験に依存するため、属人的な運営になりやすいという課題がある。そのような状況のなかで、設備担当者の異動や協力会社の変更により、過去の知見が十分に引継ぎがされず、現場の運営に支障をきたしてしまうケースも見受けられる。今後も労働人口が減少していくことが予測されるなかで、属人化を解消しないと将来的に現場の運営がままならなくなってしまう可能性も危惧される。
「Proceedクラウド」の概要
「Proceedクラウド」は、こうした課題を解決するために、「写真を起点とした現場データの構造化と活用」をコンセプトとして設計している。従来は点在していた写真データをクラウド上で一元管理し、「いつ・どこで・何を」撮影したのかという情報と紐付けることで、単なる画像から「視覚情報データベース」へと昇華させる。これにより、誰でも現在の現場状況を確認することができ、過去の現場状況を簡単に検索・参照できるようになる。データベースの構築に伴い、写真関連業務の効率化はもちろん、属人的な現場の運営を解消し、現場の意思決定を支援する。
「Proceedクラウド」の機能
「Proceedクラウド」は現場向けのアプリケーションとして以下のような、さまざまな機能を搭載している。
<代表的な機能>
・写真の撮影・整理・検索機能
・PDF/Word/Excel/TIFF等のドキュメント管理機能
・報告書(写真集)作成機能
・工程管理機能
・電子黒板機能
本サービスの中核を担うのが、写真の撮影・整理・検索機能である。本機能を活用することで、写真を起点とした現場データの構造化を容易に実現できる。
具体的には、専用のモバイルアプリで写真を撮影するときに、「機器番号」や「作業工程」のような情報を2つ選択する。すると、Web上で縦軸は「機器番号」、横軸は「工程」というマトリックスに写真がプロットされる。

モバイルで撮影した写真がPC画面上にプロットされる様子
このように、写真を整理することで、現場で写真撮影をしたその場で写真の整理が完結するため、後から写真の仕分け作業を行う必要がなくなる。
加えて、写真が工程に入っているか否か、といった情報をもとに現場の進捗も確認できるようになり、遠隔でも現場で起きていることをリアルタイムに確認できる。
また、トラブルが発生したときや業務引継ぎを行う際に、過去の写真が分かりやすいフォルダ階層で整理されているため、誰でも簡単に過去の現場の状況を確認できるようになる。それにより、トラブル解消のための時間の短縮や、業務引継ぎを円滑に行うことができる。
写真の撮影・整理・検索機能以外にも、ファイルへのコメント機能、写真集作成機能、工程管理機能などを有しており、現場の業務効率化、コミュニケーションの円滑化、進捗管理の可視化など幅広い現場の業務のデジタル化が実現できる。
「Proceedクラウド」の導入効果
導入効果として、「業務効率化」と「リスク低減」の2点が挙げられる。業務効率化の面では、写真整理や報告書作成、過去情報の検索、現場確認の移動、トラブル対応といった作業時間の削減が実現されている。石油化学プラントの定期修繕工事においては、メンテナンスの元請けを行う企業で1人当たり月間30時間以上の業務削減につながった事例がある。
一方、リスク低減の観点では、視覚的なデータベースの構築によりトレーサビリティが向上し、問題発生時の原因究明および対応の迅速化に寄与している。運転中や立上げ時に不具合が発生した場合でも、過去の施工状況を即座に参照できるため、復旧までの時間短縮にもつながっている。また、判断根拠が可視化されることで、若手技術者の育成にも寄与し、組織全体の技術力向上につながっている。
とくに定期修繕においては、事前準備から工事期間中、さらには事後の振返りに至るまで、一貫したデータ活用が可能となる点で大きな変化が見られる。従来は紙資料や個人の記憶に依存していた情報が、誰でもアクセス可能な形で共有することで、関係者間の認識齟齬が減少し、手戻りの防止や工期短縮、品質向上に寄与している。
今後のプロダクトの方向性と未来のメンテナンス現場について
プラントメンテナンスの現場は、設備の老朽化や人材不足といった課題に直面するなかで、これまで以上に高度かつ効率的な運営が求められている。その実現に向けて、現場に蓄積されるデータをいかに活用し、価値へと転換していくかが重要な鍵となる。「Proceedクラウド」は、現場に寄り添ったデータ活用基盤として、持続可能なプラントメンテナンスの実現に貢献していく所存である。
さらに、写真をはじめとした現場データを構造化して蓄積することは、AI活用の基盤としても重要な意味を持つ。従来のように整理されていないデータではAIによる解析や学習が難しくなっているが、機器番号や作業工程といった文脈情報と紐付いたデータが蓄積されることで、初めて有効な活用が可能となる。これにより、たとえば以下のような活用が可能になる。
・過去の類似トラブル事例の自動提示
・異常兆候の早期検知
・作業判断のナレッジ化と標準化
今後、こうしたAI活用を前提とした機能提供も進め、さらなるプラントメンテナンス現場における効率化、競争力強化に貢献していく。
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TPM賞とは
TPMによって成果をあげている国内外の事業場や、設備管理技術の発展に寄与する優秀な論文・商品、個人の貢献等を審査・表彰する制度です。TPM賞には、5つ賞があります。

本記事では、優れたメンテナンス関連機器を表彰するTPM優秀商品賞を受賞された商品を紹介しています。
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