
RMFJ株式会社
久藤 樹
出光興産株式会社にて潤滑管理業務に従事後、現在はRMFジャパン株式会社テクニカルコンサルタントとしてセミナーやコンサルタントを実施している。
資格:技術士(総合技術監理部門、機械部門)
機械状態監視技術者(振動カテゴリーⅢ・トライボロジーⅢ)
著書:「基礎から学ぶ潤滑管理」(潤滑通信社)
「一から学ぶ工業潤滑剤」(日刊工業新聞社)
今回は、潤滑油の漏洩管理について紹介します。潤滑油は、機械の血液と云われています。
機械の血液が漏れるということは、異常の兆候です。
油漏れの実態
1.1 油漏れが引起す問題
機械は、油が漏れないことを前提に稼動しています。油漏れは単に潤滑油の損失というだけではなく、工場内外の環境汚染や次のような問題を起こす原因となります。
①経済的損失があります。(油の消費、廃油処理コストの発生)
②作業環境、衛生環境が悪化します。
③作業現場では転倒事故や火災の危険性が高まる。
④土壌・水質汚染や河川流出に伴う公害問題発生する。
⑤潤滑油不足による機械の損傷が懸念される。
1.2 漏洩管理の指標
(1)漏れの状態と漏れ量
油漏れの量を判定する目安を、表1に示します。潤滑油が1秒間に1滴漏れると年間にドラム缶6本の油が無駄に消費されます。
表1 油漏れ量の目安

(2)HFI(Hydraulic Fluid Index)
作動油の漏洩状態を把握する指標としてHFIが用いられます。
HFI(Hydraulic Fluid Index)とは、油圧装置の作動油のタンク容量に対して1年間に補給や入れ替えをした作動油の量との割合です。次の式で計算します。
HFI=年間補給量/油圧装置総油量
タンク容量が1,000ℓの油圧装置に1年間に1,000ℓ補給すればHFIは1です。
鉄鋼会社や自動車会社で、潤滑管理を行なっている工場でのHFIは0.3~0.4程度だと云われています。
1.3 現場の油漏れ問題と漏洩対策
日本油空圧工業会と機械振興協会技術研究所が行なった「油圧システムの油漏れに関する面接調査報告書」の油漏れについて調査した結果を表2に示します。表2は、業種別の生産現場での油漏れの実態です。
表2 業種別に見た漏れ発生の現状

(1)製鉄所での油漏れ
製鉄所では、衝撃荷重が作用することにより、配管や継手などの締付ボルト類の緩みが生じて、漏れを生じます。また、ホースが繰り返し荷重を受け、バーストすると多量の油漏れとなります。
図1に、製鉄設備において油漏れが発生する主な機器と部位を示します。この図は多くの業種に共通であると考えられます。油漏れはシリンダー、配管、ポンプで発生し、それぞれの発生部位及び部品を示します。油漏れの部位はパッキンやオイルシールが挙げられますが、ホース部,ねじ込み部、溶接部などがオイルシールよりも大きな割合で漏れが発生しています。

図1 製鉄設備の油漏れ発生の機器と部位
(2)自動車製造工場での油漏れ
自動車の製造工場の製造工程は、機械加工ラインや組み立てライン等で成り立っており、設備機械は油圧装置や工作機械等の機械で構成されています。図2に示すように継手部が多いことから、漏れ対策項目として、継手のコンパクト化、締め付けトルクの低減化、配管ピッチの縮小などの対策をとっています。

図2 自動車製造業の油漏れ発生箇所
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