bool(true)

「安全衛生管理活動における人間工学の位置付けと課題」 第2回  労働と生産の必須要素である人間工学の課題と領域

2026.08.19

icon X icon Line icon Facebook icon Printer
TPM一覧に戻る

 2025年度の連載「ものづくり屋視点による労働衛生の実践」では、主に有害物質に係る業務上疾病を防ぐ視点から解説したが、労働衛生の全体領域を語るならば、外せない分野を残してしまった。それが今回のテーマとなる人間工学であるが、「安全衛生管理活動における人間工学の位置付けと課題」として、前回に引き続き、補足をしていきたい。
第1回(前回):人間工学の2つの歴史的潮流(労働衛生管理活動の背景として)
第2回(今回):労働と生産の必須要素である人間工学の課題と領域
第3回(次回):TPMの源流の1つとされる科学的管理と労働衛生
 人間工学は、労働者の安全や健康だけでなく、生産性や品質にも深く関わる領域である。しかし、その重要性に比べて十分に理解されているとは言い難い。そこで今回は、人間工学の課題と領域について整理してみたい。

人間工学の全体と安全衛生課題の部分

 前回は歴史的潮流の“側面”から、現在の人間工学が対象とする「もの・こと」を表してみたが、人間工学“正面”の定義を改めて共有しておきたい。
 国際人間工学連合(IEA)によれば、「人間工学とは、システムにおける人間と他の要素とのインタラクションを理解するための科学的学問であり、ウェルビーイングとシステム全体のパフォーマンスとの最適化を図るため、理論・原則・データおよび手法を設計に適用する専門分野である(2021.9.15,日本人間工学会 国際協力委員会試訳)」1)とされる。
 言語は明瞭だが、“イメージ”は湧きにくいので、日本人間工学会による領域図2)を引用し、図表―1に示す。人間を中心に置き、労働、生活、移動、コミュニケーションの分野にわたって、直に接するa)作業・仕事、b)道具・機器から、f)文化・習慣・法規まで、組織と社会の仕組みや概念に昇華していく全体像が表現されている。労働のカテゴリーが、設備や作業環境に展開されることは想像に難くない。生活は製品、移動は自動車、コミュニケーションは通信機器などが該当するだろう。

図表―1 拡大する人間工学の対象領域

 図表―2に労働の場面への詳細対応を示す。左上の「a)作業・仕事」は「職務(作業)の適正化」に、さらに設計・改善の対象(右側)として、「姿勢、方法、作業量、用具の選択、管理・運用」に紐づく。厳密な課題と定義はJISに規定があり、主な規格を図表―3に挙げておくが、ここでは個別の深入りは行わない。

図表―2 人間工学を形成する要素の「労働領域」への対応

図表―3 人間工学を表題の文言とする主なJIS規格

この記事は、会員専用記事です。

会員になると、会員専用の記事もお読みいただけます。

TPM一覧に戻る