
一般財団法人省エネルギーセンター
業務統括役 技監兼省エネ技術本部長 秋山俊一
はじめに
最近のエネルギーを巡る国際情勢をみると、ウクライナ侵攻や中東での紛争等が緊迫した状態を続けている上に、米国が打ち出した異例の関税措置等により不確実性が増していることから、「安全保障」の視点がますます重要になっている。
また世界的なデジタル経済の急進展に伴い、データーセンターやAIの普及により電力需要が大幅増となる可能性が高まっている。
一方、このような中でも、異常気象の頻発化等により地球温暖化への懸念が一層高まっていることから、米国の方針変更により、国際連携の機運が弱まるおそれがあるものの、「2050年カーボンニュートラル実現」に向け、引き続き温室効果ガスの削減が「待ったなし」となっている。
このような状況に対応し、本年2月には、第7次エネルギー基本計画が「GX2040ビジョン」「地球温暖化対策計画」と一体的に取りまとめられた。
これにより我が国は、S+3E(安全性+安定供給、経済効率性、環境適合性)を原則として、石油、石炭などの化石エネルギーへの過度な依存からの脱却を念頭に、エネルギー供給事業者等の供給サイドにおいては、再エネや原子力を最大限活用するとともに、製造業等の需要サイドにおいては、「徹底した省エネ」や非化石エネルギーへの転換等を進める方針を明確にした。これによりますます「省エネルギー」の重要度が高まりつつある。
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