
ステンレス鋼設備の外面へ、塗装必要ないと思うべからず
ステンレス鋼は「耐食性が優れているため大気中から腐食損傷は生じない」と信じられ、同鋼製の配管や塔、槽の外面に塗装は行われない場合がほとんどである。しかし、SUS304やSUS316などの汎用のステンレス鋼製で、外面を保温材で覆われている設備では、温度等の条件がそろえば外面から応力腐食割れ(External Stress Corrosion Cracking、略してESCC)が発生(1)する場合がある。
その場合は、ステンレス鋼でも外面塗装を施すことがESCC抑制に有効(2)である。ただし、塗装により長期側まで完全にESCCが防止できるわけではなく、塗装はESCC発生までの寿命の延長策と考える必要がある。
保温材施工された設備のESCCは、以下の条件を満たす場合に発生可能性が高い(1)とされている。なお、この条件で発生するESCCを塩化物型ESCCと言われる。
① 汎用のステンレス鋼 { SUS304やSUS316およびこれらの低炭素グレード(L材)}
② 設備自体が海浜に設置されている(海岸線から3㎞以内が目安)
③ 設備内部温度が50℃から150℃程度で運転
なお、温度については、外部からの水分の浸入程度によっては、内部温度が150℃を超える設備でもESCCの発生可能性があるので注意を要する。
塗装以外での塩化物型ESCCの対策としては、材料を2相ステンレス鋼などへの変更、もしくはステンレス鋼外面へのアルミ溶射などが提案されている。しかし、これらは製作コストが高いこともあり、ESCC対策としてはほとんど採用されていない。
また、ステンレス鋼が鋭敏化している場合は、保温材におおわれていない設備で、装置内部温度が常温でESCCの発生する場合がある。この種のESCCは、鋭敏化型ESCCと言われる。この抑制に対しては、低炭素系ステンレス鋼(L材)の採用などにより鋭敏化を抑制することが本質的な対応であり、塗装施工により鋭敏化型ESCCを抑制することは、効果が実証されておらず適切でないとされている。
以上をまとめて図に示す。

図 保温材下の外面応力腐食割れの発生条件と塗装による抑制
参考資料
(1) 中原正大、「事例に学ぶ 化学プラントの材料損傷とその制御」、アマゾン、P.98、(2024)
(2) NACE SP0198-2010, “Control of Corrosion Under Thermal Insulation and
Fireproofing Materials—A Systems Approach”, NACE(現AMPP), (2010)
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