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装置材料の損傷・劣化「べからず集」Vol.21

2026.02.04

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温度差のある流体の配管合流部、熱疲労への注意おこたるべからず

 化学プラント等では、温度の異なる流体を配管で合流させる構造で設計、設置される場合がある。合流させる流体が材料に対して腐食性が無い場合でも、流体の温度差と流量の変動により、合流部材料に損傷が発生する場合がある。
 図(1)に例を模式的に示す様に、配管の一方に高温(600℃)のガスを流している配管に低温(100℃)のガスを合流させる場合、その合流部のコーナ部や近傍の管内面に「熱疲労」と呼ばれる割れが発生することがある。特に、低温流体の流量に変動がある場合に、この割れは発生し易くなる。
 何故、割れが発生するかと言うと、高温で配管全体として熱膨張している部分に、低温の流体を流すと、それに接する部分は熱膨張が小さいために、周囲の熱膨張している部分から引っ張られ引張応力が発生する。低温流体の流量変動や、図に示す様な管内での流れの「ゆらぎ」により、流体に接触する表面で温度変動が生じる。その温度変動部分は、周囲と温度差があるため引張応力の変動が生じ、疲労き裂が発生する。すなわち応力源が、流体の温度差に起因する熱応力であるため、この種の割れを「熱疲労」と言う。
 この割れは、合流する2つの流体の温度差が大きいほど、流体の流量の変動があるほど、流体の熱容量(比熱)が大きいほど、また材料の熱膨張係数が大きいほど生じやすい。
 この中で流体の熱容量は、一般に気体より液体の方が大きいので、気体の場合より液体の場合は、より小さい温度差で熱疲労が発生する。また、使用されている材料は、炭素鋼より熱膨張係数の大きいステンレス鋼の方が、熱疲労は発生し易い。
 以上の特徴を基に温度差のある流体の合流部については、設計段階では熱応力を緩和するノズル構造にするとか、運転段階では熱疲労発生可能性のある部位について超音波探傷試験等で定期的に割れ発生を検査する必要がある。
 もし、熱疲労の発生が検出された場合は、更新、運転条件の変更、および熱応力低減の構造改善等を検討して、実施する必要がある。

図 配管で温度差のある流体合流部で発生する「熱疲労」き裂の模式図

参考資料
(1)中原正大、「事例に学ぶ 化学プラントの材料損傷とその制御」、アマゾン、P.149、(2024)

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