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第154回「時計をつくりたい と 最小公倍数」
2026.01.07
本学は文系理系を併せた総合大学で、それを活かして教養教育を手厚く提供しています。その一つ、課題探究演習という科目では、様々な分野の教員がそれぞれの専門を活かし、学部関係なく1年生向けに分野の面白さを伝えつつ、少人数でのグループワークやディスカッション、発表などを行います。私も担当者の一人で、3次元CAD+3次元プリンタ主体で、なにかものをつくる、というテーマを用意しています。 15回のうち、最初の5回でものづくりのプロセスを説いたり、3DCADのインストール、データを作ってのプリント実習を行います(文系の学生さんでも案外CADのインストールから操作までなんとかなります)。その後は3人ほどの班に分かれての活動になり、なにをつくるかを検討し、企画発表をして、実作業に入ります。学生さんたちのバックグラウンドが異なるため、つくろうとするものは様々で、実用的小物を作ろうとする班もあれば、キャラクターものを作ろうとする班もあります。普段の研究室では平面のはっきりした機械設計な部品をプリントしていることに対して、曲面だらけの丸っこい構造も多く、3Dプリントの性質的にも難易度が高くて大変です。今日もプリント中のトラブルで、3回ほどNGしてモジャモジャになっていました。 その中で、一つの班が、アナログ時計をつくりたいと企画しました。アナログ時計を自分で作ってみることは機械分野としてはかなり良い題材と以前から考えていて、「時計を与えられた設計データ・部品で作った上で好きなように改造する」という実習を、この課題探究演習や卒業研究配属になった学生さん向けに検討していました。それゆえ、いいネタが提案されてきた、と心の中で思いながら、企画発表に「挑むのにちょうどいいテーマだと思うよ」とコメントして、見守ることにしました。 いまの時代は検索すればいろんな情報が見つかるので、時計の仕組みの解説や、製作事例の紹介などである程度の構造は見えたものの、細かいところについてはよく分からないということで、相談にやってきました。私も大雑把にしか検討はしていなかったので、改めて、時計の実装を考えながら。
サステナブルなモノづくりのために No.106
2026.01.07
2025年10月21日に、デンソー東京大学社会連携講座「AI技術を活用して持続発展する次世代モノづくりインフラの構築」キックオフシンポジウムというのをやった。 2025年4月に、株式会社デンソーと筆者が兼担している東京大学大学院工学系研究科の人工物工学研究センターが共同で社会連携講座を立ち上げたのだが、方向性もそこそこ固まって来たし、お披露目をしましょうということで開催した。この社会連携講座(代表:太田順教授)(https://denso.fa.race.t.u-tokyo.ac.jp)は、「AI技術を活用して持続発展する次世代モノづくりインフラの構築」と長いタイトルがついているが、生産システムを対象として、生産管理、カイゼン、メンテナンスなどを統合的に管理するような「次世代生産システム運用基盤」を作りましょうというものである。 技術的には、デジタルをフルに活用しながら、AIの最新技術も取り入れて、フレームワークは我々のデジタル・トリプレットでということで、セールスポイントは「汎用性」である。業種を超えた様々な生産システムに適用可能な情報システムの「基盤」を作ろうとしている。もしくは、(ちょっと逃げておくと)基盤を作るための技術を開発しようとしている。例えるならば、生産ラインの不具合を見るときに、ビデオを設置して、収録して、後で専門家がビデオを見て分析すれば、7つのムダを発見できるよね。というのをデジタルとAIを活用してずっと高級にしたらどんなものになるか、そんなイメージである。筆者の班はもちろんデジタル・トリプレットの担当で、熟練者のカイゼン作業のお手本(我々の言葉で、GPM (General Process Model)と呼ぶ)を作って、この講座で開発する様々なツールを活用しながら問題解決の道案内するということをやろうとしている。 汎用性がキーワードになるとこれが意外と難しい。熟練者のお手本も特定の生産ライン、この連載でも何度も紹介している、人工物工学研究センター内にある「ラーニングファクトリー」を使って収集している。そうそう、これまでラーニングファクトリーは、主にデモぐらいしか活用してこなかったのだが、ようやくこのようにテストベッドとして活用する機会が増えてきた。この話はまた今度。 このお手本を様々な生産システムに転用できるようにGPMを記述しようとするのだが、どうしてももとの収集したお手本の中にはその生産システム固有の場所、機器、状況が入って来てしまうので結構難しい。一般化し過ぎると、問題を発見する、情報を収集する、原因の仮説を立てる、仮説を評価する、原因を同定する、・・・といった形でほとんど情報量のない当たり前のものが出来上がってしまう。今、生産システムのモデルとある程度一般的に記述したGPMを組み合わせることで、上手いこと個々の生産システムに合わせたカイゼン支援が行えないか、学生が絶賛苦戦中である。 話が脇に逸れたが、シンポジウムである。お陰様でオンラインを中心に200名以上の方に参加頂いた(最近、この手の催しをハイブリッドでやると3/4かそれ以上がオンライン参加になってしまって、会場はいつも寂しい)。勝因の1つは、早稲田大学の藤本隆宏先生に基調講演をお願いしたからであろう。先生にはこの社会連携講座について興味を持っていただいて基調講演をお引き受け頂いたのだが、様々にものづくりの未来の話をして頂いた。その中でも特に興味深かったのが、日本のものづくりが米中を代表とする世界の中で生き残る道があるかという話である(以下、先生の講演を聴いた筆者の理解であるし、妄想を膨らませている部分もあるので、文責は全て筆者にある)。 例えば、中国は製造業に関わる人口が3億人居るのに対して、日本は1,000万人しかいない。これじゃ量でもコストでも太刀打ちできる訳がない。そこで先生が出した勝ち筋が「面倒くさいものを作る」ということであった。作るのが面倒くさくて、合理的にいえば割りに合わないもの、新規参入が難しい(もしくは、バカバカしい)もの。半導体製造装置がそうかもしれないし、(先日久々に工場見学に行ったのだが)自動車のワイヤーハーネスなんて典型的かもしれない。 中国は、農村から都市部に流入した若者が主たる労働力であるし、アメリカも移民(これがどうなってしまうのだろう?)がそれである。そうすると、以心伝心、図面の深読み、すり合わせなどあり得ず、マニュアルに書いてあるとおり、それ以上でもそれ以下でもないものづくりになるので、難しい、面倒くさいものづくりはできないし、そこには近づかないというのが結論である。だからこそ藤本先生が昔から言われているパソコンであり、最近のEVの生産が中国で盛んということになる。 マニュアル化できるものづくりというのは自動化しやすい。だからこそ、中国は規模にものを言わせて、大規模な無人化工場を作る。別の人が言っていたのは、中国の工場は人を大事にしない自動化であって、日本のそれは人を大切にする自動化だそうである。中国で工場に人型ロボットを入れるというのが流行っているが、それが本当に必要なのかというのは大いに疑問であるが、常に最新の技術を使いながら、規模と開発速度で他の追従を許さないというのが中国のものづくりなのであろう。 それに対して、日本の技術者は高いレベルを維持しており(例えば、高専出身者が多い)、そういった人の技術力、判断力を使ってしか作れないものづくりに行くべきという話であった。筆者の担当であるデジタル・トリプレットもそういう、人のややこしい、面倒くさい判断を形式知化したいと思っている。 もしかしたら、形式知化したとしてもそれを使いこなすためには結構リテラシーが必要であって、誰にでも使いこなせるという訳ではないのかもしれない。こうなってくると、どこまで形式知化したらどのレベルの人が使えるようになるのかという際限の無い課題を扱わなければならなくなるのかもしれない。面倒くさいものを作ることを研究対象にするのはいろいろ面倒くさいのかもしれない。
第10回 力の釣合いとモーメント
2026.01.07
国立大学法人 九州工業大学支援研究員・客員教授堀田 源治
装置材料の損傷・劣化「べからず集」Vol.19
2026.01.07
ステンレス鋼製熱交換器の伝熱管と管板の管端溶接は、自動溶接で行われる場合が多い。その場合に溶接機を管端部に適切に固定するために図1に模式的に示す様に、銅製ガイドを用いる場合が多いとのことである。何故、銅製ガイドが選定されるかは、銅がステンレス鋼より硬さが低く、ステンレス鋼管に傷などをつけにくいためとされている。しかも、このガイドは、溶接機の位置をしっかり固定するため管の内径に近い径が選択される。 これにより製作された管端溶接部近傍に、製作後や運転開始後に割れ状の欠陥の検出される事例が何件か報告されている。その原因は、図2に模式的に示す様に、銅製ガイドとステンレス鋼が接触したことにより、銅がステンレス鋼表面に凝着し、そこに溶接による熱が影響して「液体金属脆化」1)のよる割れがステンレス鋼管に生じたと判断される。これは、ステンレス鋼に比較して、銅の融点が低いため、溶接熱影響の熱で銅が溶融状態となり、それがステンレス鋼に拡散し脆化割れを発生させると推定される。なお、この割れ事例は、ステンレス鋼で主に発生しているが、炭素鋼製熱交換器においても、発生可能性がある。 対策としては、溶接機のガイドに銅を用いず、ステンレス鋼などを用いることが挙げられる。 熱交換器の発注者や設計者は、製作工程の工具の材料まで指定することは一般的にない。しかし、本件は繰り返し発生している事例でもあり、発注や製作の工程管理で指定するとか、受入れ時の割れの検査を行うなどの対応が必要である。また、製作会社でも製作する機器の品質を確保するため注意する必要がある。
株式会社マクニカ(2023年度TPM優秀商品賞実効賞)
2026.01.01
SBエンジニアリング株式会社
2026.01.01
八千代ソリューションズ株式会社(2021年度TPM優秀商品賞開発賞)
2026.01.01
株式会社M2X(2023年度TPM優秀商品賞開発賞)
2026.01.01
指標でモノづくりを評価しよう! #9 生産リードタイム
2025.12.24 無料会員
製造現場において、生産リードタイムは顧客満足度や納期遵守に直結する重要な指標です。生産リードタイムが長いと、在庫の増加や納期遅延、コスト増加などの問題が発生します。さらに、在庫が増えることでキャッシュフローが悪化するという経営上のリスクも生じます。今回は、生産リードタイムの定義、長期化の原因、改善事例、そしてKPIとしての活用方法について説明します。 生産リードタイムとは、製品の製造開始から完成までにかかる時間のことです。一般的には、原材料の投入から最終製品の出荷までの時間を指します。この時間が短いほど、柔軟な生産対応が可能となり、顧客の要求に迅速に応えることができます。
人材の定着率と採用について 効果的な施策が明らかに ~2024年度メンテナンス実態調査より(2/3)
2025.12.24 無料会員
日本プラントメンテナンス協会が実施した「2024年度メンテナンス実態調査」では、設備管理・保全の現場が直面する課題についても詳細に分析した。今回は報告書から、人材の定着率と採用、施策の効果を紹介する。