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自主保全の長期的な取組み目標の設定
 自主保全の当面の目標(基本条件の整備、第4ステップの診断合格等)を示すだけでなく、自主保全の将来における「あるべき姿」を描くことで、オペレーターは自主保全のねらいを長期的視点から理解するとともに、明確に示された方向性のもとで、活動をより効果的に成果へ結びつけていくことができます。
 長期的な目標には、ステップ展開の取組みに加え、他の柱(活動)*との連携や技術・技能の向上、改善活動等が含まれます(図表ー1)。
*:「TPMによる企業や工場での活動」を参照 (https://info-jipm.jp/f/introduction-of-tpm/)

図表ー1 自主保全の長期的な取組み目標の設定(例)
工場のビジョン、戦略方針を受けた成果指標の設定
工場のビジョン、戦略方針を達成するための自主保全の方針、成果指標、目標値を設定し、管理を行うことで、自主保全活動が工場全体の目標と一致するように設計され、オペレーターは、自分の活動が工場経営に直結していることを理解します。この結果、オペレーターは自主保全にさらに積極的に取り組むとともに、有効な活動に集中して取り組むことができるようになります(図表ー2)。

図表ー2 工場のビジョン、戦略方針を受けた、成果指標、目標値の設定と管理(例)
KMI:Key Management Indicator(重要経営指標)
KPI:Key Performance Indicator(重要業績評価指標)
KAI:Key Activity Indicator(重要活動指標)

自主保全ステップ展開の繰り返しによる習熟
 自主保全のステップを短期間に進めることのみを追求すると、形ばかりで本来の能力が身に付かず、現場には何も定着しません。そこで、自主保全1~3ステップないしは1~4ステップを同じ職場で繰り返すことにより、その内容を体得し着実な成果へつなげます。
 図表ー4のように、1回目(1~3ステップ)、2回目(1~3ステップ)、3回目(1~7ステップ)とステップ展開を繰り返す際、1回目は「現状把握」、2回目は「再発防止」、3回目は「標準化」のように、ステップの回ごとに活動の重点を明確にして取組む企業もあります。

図表ー3 自主保全ステップ展開の繰り返しイメージ
次回も、近年の自主保全の取組み(つづき)について説明します。
*日本プラントメンテナンス協会では、生産分野において日本最大級の資格である「自主保全士認定制度」を提供しており、過去に23万人を超える自主保全士が誕生しています。
 
               
							