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装置材料の損傷・劣化「べからず集」Vol.14

2025.10.15

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亜鉛メッキ鋼板、ステンレス鋼へ溶接すべからず

 亜鉛メッキ鋼板は、鋼板の表面に亜鉛がメッキされている炭素鋼板である。亜鉛は、炭素鋼に比較して腐食し易いため、腐食性環境中では亜鉛のメッキ層が炭素鋼を防食する働きがある。このため、大気中に設置される設備部材や冷却水配管等として用いられている。
 しかし、ステンレス鋼製設備のサポート部材に亜鉛メッキ鋼板を亜鉛メッキ層を除かないか、十分に亜鉛メッキ層を除去しない状態にて溶接で取り付けると、溶接金属に割れ状の欠陥が発生すると共に、ステンレス鋼部材の溶接熱影響部に割れが発生し、写真11)に示すようにステンレス鋼に割れが貫通してしまうことがある。
 この現象を「液体金属脆化」と言う。これは、溶接などにより溶融状態となった亜鉛が溶融していないステンレス鋼に接すると、ステンレス鋼に写真21)に示すような結晶粒界に沿った割れが、短時間で発生する現象である。
 この割れの発生を抑制するためには、亜鉛メッキ鋼板をステンレス鋼に直接溶接しないことである。もし、亜鉛メッキ鋼板を溶接する場合は、溶接ぶ部近傍の亜鉛メッキ層をグラインダ等で確実に除去し、その後に溶接を行う必要がある。

写真1 ステンレス鋼配管外面に亜鉛メッキ鋼板を点付け溶接した際に発生した欠陥の内面側状況
(浸透探傷後に黒く見える部分が欠陥貫通部)1)

写真2 ステンレス鋼に発生した欠陥の断面金属顕微鏡写真1)

参考文献
(1) 日本材料学会腐食防食部門委員会編、事例で学ぶ腐食損傷と解析技術、さんえい出版、P.281(2009)

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