

RMFJ株式会社
久藤 樹
出光興産株式会社にて潤滑管理業務に従事後、現在はRMFジャパン株式会社テクニカルコンサルタントとしてセミナーやコンサルタントを実施している。
資格:技術士(総合技術監理部門、機械部門)
機械状態監視技術者(振動カテゴリーⅢ・トライボロジーⅢ)
著書:「基礎から学ぶ潤滑管理」(潤滑通信社)
「一から学ぶ工業潤滑剤」(日刊工業新聞社)
【質問です】
工作機械の円筒研削盤の取扱説明書に、油圧装置には、HG32を使用することとの記述がありました。ウォーミングアップの短縮と省エネを考慮して、HM32に粘度指数向上剤を配合した作動油を使用しました。この作動油の使用は適切ですか?
工作機械の潤滑油
(1)工作機械の特質と潤滑
工作機械は、マザーマシン(機械を造る機械)と言われています。工作機械は、高精度な機械部品を製造するために、運動誤差と変位(静的変位、動的変位、熱的変位)を出来るだけ小さくするように設計されています。工作機械に使用する潤滑油は、加工精度の向上という観点からを選定します。
工作機械は、回転もしくは直線運動する稼動部(潤滑箇所)があり、稼動部には摩擦を低減し、熱の発生を抑え、発生した熱を速やかに除去するために潤滑剤を使用します。軸受は、熱変位を少なくするために低発熱と冷却を考慮した潤滑設計を行ないます。特に、摺動面では、滑らかな運動と正確な位置決め性能に優れる潤滑油を使用します。
(2)工作機械の潤滑箇所
図1に、旋盤の構成要素と潤滑箇所を摸式的に示します。図1から、旋盤の潤滑箇所(稼動部分=潤滑箇所)は、①軸受②歯車③摺動面④油圧の4箇所に大別されます。各潤滑箇所には、その潤滑箇所が要求する機能を満足する潤滑剤を使用します。
各潤滑箇所に使用する潤滑剤については、(社)日本工作機械工業会が工作機械用潤滑剤選択基準を制定しています。工作機械用潤滑剤選択基準を表1に示します。

図1 旋盤の構成要素と潤滑箇所
表1 工作機械用として使用される主な潤滑剤の種類

この記事は、会員専用記事です。
有料会員になると、会員限定の有料記事もお読みいただけます。