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第10回 力の釣合いとモーメント

2026.01.07

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国立大学法人 九州工業大学
支援研究員・客員教授
堀田 源治

九州工業大学、有明工業高等学校で教鞭をとる他に、堀田技術士事務所(ETC)の代表として企業向けコンサルタント活動(保全・安全・人材育成など)や学協会の委員・役員活動(日本技術士会、日本材料学会、日本設計工学会)を実施中。

資格:職業訓練指導員
   1級技能士
   技術士(機械部門)
   博士(工学)

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てこの理

 図表-1は、岡山県赤盤市の「ゆるぎ岩」で上の岩が一見落ちそうだが落ちることがない観光名所である。前回までの連載により読者は「ゆるぎ岩」の落ちない原理は「力の釣合い」であることがお分かりであろう。さらに先月号を参照すると、上の岩の重心線が下の岩の一部(支持面)を通っていることが岩の落ちない(転倒しない)仕組みであることを読み取れる。

図表-1 ゆるぎ岩(岡山県)1)

 図表-1の上の岩のような釣合い原理を「てこの理」1)といい、“やじろべえ”のような玩具や“天秤”やシーソーの釣合いの物理的な基礎となっている。「てこ」とは一般的には、図表-1のように棒の1点が支点Oにおいてピンなどで回転自由支えられているとき、1点aに作用する荷重Wに対して他方の点bに力Pを加えて釣合わす棒のことで、レバー(Lever)ともいう。てこは棒と荷重W、力Pからなる物体である。

図表-2 てこ

 次に「てこの理」とは、
①力と荷重との大きさの比は支点までの距離の逆比に等しい」2)
ことであるが、筆者はこれに
②「支点の左右でモーメントが等しくなったとき“てこ”は釣合う」
③「そのときの“てこ”の重心線は支点oを通る」
を加えたい。つまり、てこの重心を支えれば釣合って動かないが、重心を外れて釣合わすことはできない。時々、玉掛などで重心位置にロープが掛けられないので、試行錯誤でつり合い位置を探すことが見受けられるが、これは陥りやすい錯覚である。逆に上の②と③が成り立てば,その結果③が言えることになる。
 図表-1の「ゆるぎ岩」はまさに「てこ」であり,上の岩が落ちないのは「てこの理」に適っているからである。今回はてこやてこの理に大切な役割を果たすモーメントについて考えてみよう。

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