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ものづくり屋視点による労働衛生の実践 No.7 許容できないリスクを低減する“改善”の考え方

2025.10.15

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対策と改善

 30年以上前の鋳造工場の現場風景である。「朝市ミーティング」と称し、前日発生した不良品を前に、「対策」に明け暮れていた日々があった。素材不良率は5%を下回ることはなく、型式によっては10%~30%も当り前。つくってもつくっても不良。「現場が泣いている!」と叩き上げの職長から生産技術者たちに対する、半ば恫喝のごとき追及は止まず、原因も定かではない中、何か行動をと「対策」が講じられる。後工程の加工からは、「素材屋は原因も分からないのに対策か」と嘲笑。本格的にTPMを導入する以前のことではあったが。
 後に知るところである。「ものづくり屋は、極限追求を掲げ、後戻りしない継続的改善を『正』とすべし」しかし、成果が要求スピードに追い付くまでには、方法論とともに訓練と実践の積重ねが必要だ。国語辞典的には「対策とは、相手や問題に対応すること」。「改善とは、改めて良くすること」が共通、さらに、対策には“個別でそのとき”、改善には“長期的”といったニュアンスが加わる。鋳造の不良対策として「合格基準を緩和してもらう」などという「まさに相手への対策」まで飛び出したことがあり、笑えない笑い話であった。

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