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「計画保全の仕組み」とは
それでは、「計画保全の仕組み」を説明しよう。
「計画保全の仕組み」とは、個々には、当たり前のことを、体系的・有機的に結び付け、個々のPDCAを回しながら、全体のPDCAを回すことである。
これにより、適切に効果的に仕事を行い正解に近付けることが可能となる。「計画保全の仕組み」とは、「保全の進め方のノウハウ」を集約したものである。
モノづくり企業には多くの使命がある。そこに関わる保全メンバーには、もちろん多様な使命が求められる。装置の安定稼働を発現させるのはもちろんのこと、種々のロス・リスクを最小限に抑える必要がある。そして、全体最適な保全を行い、事業に貢献する必要がある。企業の「ありたい姿」に近付けるために、「仕組み」を整え、さらにバージョンアップを繰り返す必要がある。
「計画保全の仕組み」は、既に体系化されている。
計画保全の策定(Plan)には、対象設備設定や保全方式の考え方、予備品管理や予算策定の方法、保全指標設定の考え方がある。
計画保全の実行(Do)には、ジョブフロー、各種確認票、各種の歯止め策の考え方がある。
計画保全の解析・分析(Check)には、保全データ解析の方法、報告の考え方がある。
計画保全の修正・反映(Action)には、設備管理基準、保全システム、設計標準類の見直し、経営システムへの報告の考え方がある。
また、保全の現状評価(保全水準評価プログラム)や、保全人財育成には独自のプログラムがある。保全情報管理には、設備保全システムがある。

「計画保全の仕組み」は、長い歴史の下で、さまざまな業種に対して実績がある。
さらに、考え方・様式例・実施例・推進のための標準が整備されている。
これらの歴史ある「仕組み」を取り入れ、企業・事業形態・工場に合った、ありたい姿・あるべき姿の保全を目指してほしい。
「計画保全」の周知
次に「計画保全」の周知を説明する。
「計画保全」を推進するためには、推進の歯車を回すための駆動力が必要だ。
最も強い駆動力となり得るのは、人の力であり、多くの賛同者だ。
「計画保全」の賛同者を増やそう。賛同者とは、部下や同僚だけではない、工場長や経営者の方々にも理解いただき、推進役の一翼を担ってもらうように促してほしい。事業を推進する人の理解を得られなければ、計画保全の仕組みは、すぐに破綻する恐れがある。しっかりとていねいに説明してほしい。これは、保全技術者の役割でもある。第2項で説明した「計画保全」の効用を、理路整然と説明すれば、きっと道が開けるはずだ。
工場長や経営者には、「保全経営」の重要性や、「計画保全」を推進することで事業貢献および安定稼働を期待できることを、うまく説明してほしい。
部下や同僚には、これに加え、「計画保全」は、日々の愚直な保全対応の積重ねであることや、モチベーションアップにつながることを、納得するまで説明してほしい。
保全業務は、関わる全員に一定以上の技術レベルが必要とされる。また関係者全員が賛同者となることが望ましい姿だ。全員で「計画保全」のあるべき姿を目指してほしい。
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