

自主保全を効果的に進めるためのツール
自主保全を効果的に進めるためには、いくつかのツールを活用することが有効です。
以下に代表的なツールをご紹介します。
「活動板」
活動板は、方針・目標・活動計画や進捗状況を関係者全員で共有するためのツールです。 上位方針を受け、その実現のために自サークルが抱える課題や解決方法などを明確化(可視化)し、共有します。

図表ー1 活動板の例
「ワンポイントレッスン(OPL;One-Point Lesson)」
短時間で行う教育ツールで、日常の活動の中で学習を進めます。朝礼やすき間の時間を利用し、設備保全に関する知識や技術を習得します。ワンポイントレッスンは使用目的により、<基礎知識><トラブル事例><改善事例>の3つに大別されます。

「ミーティング」
定期的なミーティングを通じて、活動の進捗状況を確認し、問題点を共有します。全員が活発に意見を出し合い、より良い改善策を検討する場として重要です。

これら活動板、ワンポイントレッスン、ミーティングは、自主保全を円滑に進めるにあたり、多くの企業で活用されており、「(自主保全の)三種の神器」と呼ばれています。
「エフ(絵符)」
エフは、設備の不具合や5Sの不備、品質や安全、保全性の悪い箇所などを示す「絵符」です。不具合の場所や内容を記入し、設備に取り付けることで、問題箇所を「見える化」します。エフを使うことで、不具合の処置漏れを防ぎ、迅速な対応が可能になります。エフ付け/エフ取りは、不具合を顕在化するツールとして永遠に継続する活動です。以下は代表的な使用例で、
・白エフ:自サークルで処置できる不具合
・赤エフ:自サークルで処置できない不具合(主に保全部門)
・黄エフ:危険個所
・緑エフ:環境や省エネへの対応が必要
などのように、不具合の内容に応じて色別管理を行うことが多いです。


図表ー3 エフ(絵符)
「目で見る管理」
「目で見る管理」は、生産プロセスの中で管理すべき項目が正常か異常かを誰でも一目で判断できるようにする手法です。これにより、異常の早期発見や誤操作の防止を図ることができます。

これらのツールを活用することで、自主保全活動を効果的に進めることができます。
これら以外にも、同じ対象物の改善・改良の変化を捉える「定点撮影」、現場の状態を視覚化するための「マップ」などのツールがあります。
次回は、自主保全を効果的に進めるためのポイントについて説明します。
*日本プラントメンテナンス協会では、生産分野において日本最大級の資格である「自主保全士認定制度」を提供しており、過去に23万人を超える自主保全士が誕生しています。
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