
国立大学法人 九州工業大学
支援研究員・客員教授
堀田 源治
九州工業大学、有明工業高等学校で教鞭をとる他に、堀田技術士事務所(ETC)の代表として企業向けコンサルタント活動(保全・安全・人材育成など)や学協会の委員・役員活動(日本技術士会、日本材料学会、日本設計工学会)を実施中。
資格:職業訓練指導員
1級技能士
技術士(機械部門)
博士(工学)
力の釣り合いと重心
この連載において、反力を求めるときに軸の自重はある1点に集中すると仮定したが、これは物体に働く重力は重心に集中して作用すると考えることができるためである。
本連載で取り上げた玉掛けでロープが均等に張られているような場合には、吊り荷の重量とロープの張力の釣り合いのみでモーメントの釣り合いは考えなくても良かったが、一般的に物体が動かないためには、力の釣り合いとモーメントの釣り合いの両方が満たされていることが必要である。これらの釣り合いについて考えるときは外力の他にも物体重量に着目するが、物体重量が作用する重心位置については物体の形状が複雑な場合には把握が難しいのが現状であろう。
また、生産現場での交換作業や分解・組み立て作業、運搬作業では重量物を持つことが普通であるが、重心位置を意識せずに作業する場合も多く特に非定常作業においてはこの傾向が強いようである。しかし、重心位置を意識しなかったための労働災害は頻発しているのが現状である。今回は重心の求め方を作業安全の視点から考えてみたい。
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