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第12回 潤滑トラブル事例

2026.03.11

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RMFJ株式会社
久藤 樹

出光興産株式会社にて潤滑管理業務に従事後、現在はRMFジャパン株式会社テクニカルコンサルタントとしてセミナーやコンサルタントを実施している。

資格:技術士(総合技術監理部門、機械部門)
   機械状態監視技術者(振動カテゴリーⅢ・トライボロジーⅢ)
著書:「基礎から学ぶ潤滑管理」(潤滑通信社)
   「一から学ぶ工業潤滑剤」(日刊工業新聞社) 

 今回は、潤滑トラブルについて七つの事例を紹介します。

〔事例1〕給油間違いによる電磁弁の作動不良トラブル

1.トラブルの概要
 油圧シリンダーの作動不良が発生しました。電磁弁を分解したところ、電磁弁に写真1に示すタール状の黒色の粘着性スラッジが付着していました。
 粘着性スラッジは、全ての電磁弁に付着していました。再発防止のために、この粘着性スラッジと作動油を分析し、原因究明を行いました。

写真1 電磁弁のタール状の粘着性スラッジ

2.分析結果

(1)表1に油の分析結果を示します。油の汚染度はNAS8等級と良好ですが、ミリポアフィルター試験後のフィルターにスラッジ状の物質が多く確認されました。
(2)赤外分光分析のスペクトル結果から、
①スラッジの赤外分光分析スペクトルは、Oリング(NBR)とは波形が異なることからOリング由来ではないと判断されます。
②スペクトル波形は、セルロースやグリコール等の高分子化合物に類似していました。
(3)図1にフェログラフィ分析の顕微鏡写真を示します。
①異常な摩耗粒子の発生はなく、潤滑状態に問題はないと考えられます。
②半透明のポリマー状の物質が確認されました。
(4)図2の蛍光X線分析では、作動油には添加されていないK(カリウム)が検出されました。以上のことから、作動油にK(カリウム)を含むポリマー状の物質が混入し、このポリマー状物質が粘着性のスラッジを生成したものと考えられます。

表1 スラッジの分析結果

図1 フェログラフィ分析

図2 蛍光X線分析

3.原因の推定と対策

(1)トラブルの原因
①隣接した設備に水グリコール作動油を使用していることから、この作動油の誤給油と推定されます。【水グリコール作動油は、水溶性ポリマーとアルカリ剤としてK(水酸化カリウム)が使用されています。】
②誤給油の原因は、給油作業マニアルの未整備と作業者の知識不足と推定されます。
(2)対策
①更油の実施とろ過機による浄油を実施しました。
②潤滑管理マニアルの見直しを行いました。
③潤滑管理の勉強会を定期的に実施することにしました。

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