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装置材料の損傷・劣化「べからず集」Vol.17

2025.12.03

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開放循環式冷却水で「殺菌処理」おこたるべからず

 開放循環式冷却水系で、補給水の塩化物イオン濃度などの腐食性成分の濃度が低く、かつ濁度が低いなど“清浄な状態”である場合に、殺菌処理の必要性を軽視し、それを適切に行わないで運転される場合がある。しかし、その場合に微生物に起因した腐食発生が問題となる場合がある。
 実際にある開放循環式冷却水系で、補給水が“清浄”であるため殺菌処理の必要性が認識されず、殺菌剤の濃度管理を適切に行われていなかった。その系で写真に示す様にB合金(Moを含むNi基合金)製のプレート式熱交換器で、冷却水側からのすき間腐食が発生し、貫通に至った1)。この事例を解析した結果、冷却水環境でB合金のすき間部に、微生物誘起腐食が発生したことが推測された。

写真 B合金製プレート式熱交換器損傷部の断面
(冷却水側からすき間腐食が一次的に発生し、その影響でプロセス側から二次的に全面腐食が発生)1)

 このため、腐食再発の抑制策として、冷却水系への殺菌剤として次亜塩素酸塩を連続添加とし、その濃度管理(有効塩素で0.3~0.5ppm)を実施した。その後、この系でのB合金製熱交換器でのすき間腐食の再発は抑制された。
 以上の様に、開放循環式冷却水系の殺菌処理を適切に行わないと、B合金製やステンレス鋼製機器で、微生物に起因した腐食の発生する可能性が高くなる。このため、微生物による腐食発生を抑制するため、たとえ“清浄”な冷却水系でも、殺菌剤の連続投入や残留塩素濃度の管理が重要である。

参考文献
(1)友浦誠一郎、山口正人、中原正大、材料と環境誌、46巻、P.505 (1997)

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