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装置材料の損傷・劣化「べからず集」Vol.28

2026.05.18

 設備の設計や管理で、業務を短時間で効率的に進めることは、大切な姿勢である。そのために「そんなこと解っている」と種々の技術的な判断を下していることがないだろうか。言い換えれば、その判断の中に、理解や予想が十分でなく危険性をはらむ判断をしていることがないだろうか。 この連載で過去に紹介したステンレス鋼配管を2重管として外面から冷却水で冷却する設備の設置と運転した事例を基に考える。 この種の設備は、化学工場で一般的であり、多くの使用実績がある。しかし、使用実績のある設備の内側の管の材料がステンレス鋼なのか、内部プロセスの温度は何度なのか、また冷却水の水質は工業用水なのかボイラ給水なのか、などを把握して、先の事例の場合に設計・製作・設備管理が行われたのだろうか。すなわち「2重管設備は実績もあり問題ない」との思い込みで判断したのではないだろうか。 結果的には、先にも紹介した様に、内管のステンレス鋼に塩化物による応力腐食割れが発生する設計がなされ、そのまま製作され、適切な検査も行われず運転され漏洩事故に至っている。この使用条件では割れおよび漏洩の発生は、ある程度の材料技術の知識があれば予測することが可能であったと考えられる。 設備の設計や管理に関わる者は、担当する設備の材料と環境の組み合わせで、材料損傷発生の危険性が潜んでいないか、「そんなこと解っている」と決めつけず、謙虚に考え、検討する必要と責任がある。 もし技術的な判断の難しい場合は、独自に調査検討するとか周囲や専門家に問い合わせることが重要である。合わせて疑問を想起する基礎的な技術的な能力を身に着けておくことも必要である。

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からくり改善のための「機構学」入門 No.14 機構の解析(その5:GeoGebraで求める機構の速度)

2026.05.15

 前回は、GeoGebraで機構の瞬間中心を求める手順を説明しました。作図による考え方自体は、機構学の教科書で古くから解説されているものです。しかし、作図による瞬間中心の求め方をGeoGebraの機能を使って行うことで、機構を動かせば瞬間中心も対応して動くようになりました。紙に作図していた頃には、機構の状態(リンクの角度)が変わるたびに作図をやり直す手間がありましたが、GeoGebraではその必要はありません。新しいことが解析できるようになったわけではありませんが、機構が動作している最中の解析を直感的に解析することができるようになったことは、大きな前進だと思います。 今回は、この瞬間中心を使って、機構の各部における速度の関係を求める方法を紹介します。

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サステナブルなモノづくりのために No.109

2026.05.13

 前号で生成AIの話を書いたのだが、若干書き残しがあったので、少し続きを書かせてください。 前回、リマニュファクチャリング設計ガイドラインを生成AIを使って導出する研究の話をしたが、これの続きである。これは、エコデザインに興味の無い設計者にできるだけ簡単にリマニュファクチャリング設計をやって貰うために、100個程度の汎用的なリマニュファクチャリング設計ガイドラインから、今、設計しようとしている製品にカスタマイズした設計ガイドラインを導出するというものである。入力は、汎用ガイドラインに加えて、製品の構造情報、リマニュファクチャリングの工程情報(どの部品を交換するか、どの部品は取り出してクリーニングしてもう一回取り付けるか、といった情報とその手順)を与えている。構造情報は部品のネットワークの形で一応構造化されているが、工程情報の方は基本、文字情報である。それでも設計者に有用な結果が出てくる。これは、メーカーの技術者に確認済みである。 今回言いたかった1つ目は、当たり前と言えば当たり前なのだが、製品情報を違う製品にすれば、その製品にカスタマイズした設計ガイドラインがちゃんと出てくるし、汎用ガイドラインの方をリマニュファクチャリング設計じゃなくて、修理を容易にするリペア設計に変えれば、リペアのためのガイドラインが出てくる。いろいろな場面で使える汎用的なツールができたと喜んでいる。 もう1つ面白いのは、この研究では、今や当たり前になったAIエージェントを使っているのだが、そうするとツールの使用ログが出ている。ここでのツールというのは、汎用設計ガイドライン、製品情報、工程情報のことであるが、AIエージェントがどのような順番で、どのツールを見て、どういう情報を獲得したかが分かる。これはまさに、AIエージェントの問題解決プロセスの情報なので、これを集めて、知識として再利用できるようにしてやれば、我々の研究室のもう一つのテーマである「デジタル・トリプレット」でやっていることに繋がってくる。ただ、これまでのデジタル・トリプレットでは、熟練者や未熟練者といった「人」を対象にして、作業の記録を取ったあとに、1つひとつの作業の意図をヒアリングすることで、意味のあるプロセス知識を記述してきた。AIエージェントからは意図を取り出すことはできないであろうから、そこは考えないと。そこにあるのは単なる選択確率なのだろう。さらに言えば、この作業プロセスをAIエージェントに指示すれば、ユーザの意図に対してさらに適合した結果が得られるはずである。多分これは可能だし、既にやられていることのように思われる。そうすると、デジタル・トリプレットとAIエージェントの話が繋がってくるのではないかと思っている。

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デジタルってマジックみたい♪

2026.05.13

トヨタ自動車株式会社 本社工場 水素開発製造部 設備課 玉城 海優